心が壊れる前兆
「心が壊れる」と、うつ病や双極性障害をはじめとするさまざまな病気のリスクが高くなります。またすでに、何らかのこころの病気を発症しているということもあります。
早期発見のためには、その前兆を知っておくことが大切です。当てはまる場合には、お早目に当院にご相談ください。治療の開始が早期であるほど、治癒も早くなり、日常生活への影響も小さくなります。
疲れているのに寝られない、
すっきりしない
仕事や勉強、家事、運動などで疲れているのに、ベッドに入ってからもなかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、過度に早く起きてしまうといった場合には、睡眠障害が疑われます。睡眠障害は、しばしばうつ病と合併します。
しっかり睡眠時間をとったはずなのに寝起きがすっきりしない、日中に疲労感や倦怠感がある場合も注意が必要です。
アルコール・タバコ・浪費が増える
アルコールやタバコの量が増える、必要のない買い物・ギャンブルに大金をつぎ込んでしまう場合も、注意が必要です。悩み・ストレスからの回避行動であることが疑われます。
特に連日の多量の飲酒は、アルコール依存症や肝障害など、身体の健康への影響も心配されます。
顔つきが変わる
表情が乏しくなる、感情の起伏がなくなる、笑顔が不自然になったなど、顔つきの変化がある場合には、うつ病や睡眠障害などを起こしている可能性を考えます。自分ではなかなか気づけず、毎日顔を見る家族からの勧めで受診に至ることが多くなります。
遅刻・欠席が増える
これまでそういったことをする人ではなかったのに、急に遅刻や欠席が増えたという場合には、何らかの原因で朝起きられない・出社が辛い状況に陥っている可能性があります。特に無断での遅刻・欠席がある場合には注意が必要です。
挨拶ができなくなる
家族、同僚、友人と会った時に、これまで当たり前にしていた挨拶ができないということもあります。まわりへの関心や興味、意欲を失っていることが考えられます。実際に聞こえていない、声を意味のある言葉として認識できていないということもあります。
心が壊れるとどうなるの?症状は?
心が壊れた人の顔つき
表情が暗い・無い
表情が暗くなり、うれしいはず・楽しいはずのことでも喜ぶ様子が見られません。うれしい・楽しいといった気持ちが湧いてこないのです。
一方で、特に何かあったわけでもないのに涙が出てくる・止まらなくなるということもあります。
身だしなみが乱れている
髪型や服装を整えたり、髭を剃ったりといった以前であれば当たり前だったことが難しくなります。
洗顔や入浴さえ面倒くさくて仕方なくなり、不衛生になってしまうこともあります。
ずっとどんよりしている
元気がなくなり、ずっとどんよりした雰囲気が続いてしまうことがあります。以前まで好きだったこと、興味・関心があったことを目の前にしても、やる気が出ません。
自分の気持ちと裏腹に
笑っている
自分がうつ状態にあることを悟られないよう、本当は落ち込んでいるのに、笑顔をつくることがあります。責任感の強い人、まわりからの目に敏感な人ほど、この傾向があります。家族など、親しい人であれば、不自然な笑顔になっていることに気づける可能性は高くなります。
心が壊れた人の言動
自分に対して悲観的
「自分なんて頑張っても無駄だ」「価値がない」といったように、自分や自分の未来に悲観的な言葉を発し、行動として努力することも難しくなります。最悪の場合には、死にたい気持ちにさいなまれるようになります。
人とのかかわりを避ける
職場や学校の人、あるいは友人や家族といったごく親しい人、自分を助けようとしてくれる人であっても、その接触を回避しようとすることがあります。誰でも一人になりたくなることはありますが、そういった状態が続く場合には注意が必要です。
集中できずボーッとしている
仕事や勉強、あるいは遊びや気さくな会話であっても、集中することができず、ボーッとしてしまうことがあります。何もやる気がでない、手につかないといった状態です。また仕事・勉強では、ケアレスミスが増えます。
心が壊れる原因
心が壊れる原因としてもっとも多いのが、ストレスです。
職場・学校・家庭での人間関係がうまくいかない、仕事・学業での成績がふるわない、就職・転職・転居・一人暮らし・介護などの環境の変化、睡眠不足、過労、経済的問題、健康上の問題など、私たちの身の回りにはさまざまなストレス因子があります。
ストレスによって心が壊れると、うつ病や適応障害、社交不安障害などを発症することがあり、その場合は治療が必要です。また病名がつかない場合にも、速やかに心身を休め、回復に努める必要があります。
心が壊れたと感じた時、このままでは壊れてしまうと感じた時には、お早めに当院にご相談ください。中学生以上のお子様、ご家族様からの相談もお受けします。
心が壊れる病気
うつ病
主にストレスを原因として、気分の落ち込み、憂うつ、やる気がでないといった精神症状、不眠や疲労感といった身体症状が現れます。几帳面・生真面目な性格や遺伝も、原因の1つとなります。
なお、次にご紹介する適応障害や不安障害においても、うつ状態を伴うことがあるため、これらの病気を正しく診断することが大切になります。
適応障害
主にストレスを原因として、うつ状態、不安、イライラなどの精神症状、疲労感や不眠といった身体症状が現れます。
うつ病と比べると、はっきりとしたストレスの原因が見つかりやすいのが特徴です。適応障害の場合、原因から離れることでの症状が和らぎます。
社交不安障害
たくさんの人の前でしゃべる、発表をするといった場合に、極度の緊張状態となり、赤面、手足や声の震え、動悸、発汗、頭が真っ白になる等の症状に襲われます。これらの症状によって会話・発表などに苦手意識を持つと、今後のことを考えるだけで辛くなってしまいます(予期不安)。うつ病や強迫性障害、不眠症などを合併するケースも少なくありません。
社交不安障害は特に、10代での発症が目立ちます。当院では、中学生以上のお子様の診療も行っています。