睡眠外来について
緑川こころの診療所の睡眠外来では、不眠症をはじめとするさまざまな睡眠障害の診断や治療を行います。睡眠障害は、うつ病の症状として現れることが少なくありません。また、睡眠時無呼吸症候群のように、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を合併することがある病気も存在します。
ひと口に「睡眠障害」といっても、実はさまざまな症状がそこに含まれています。
このような症状でお悩みはありませんか?
- 眠れない日が続いている
- ベッドに入ってから30分以上目を閉じていても眠れない
- 夜中に何度も目が覚める
- セットした目覚ましより早く目が覚め、二度寝もできない
- 睡眠時間は十分とっているはずなのに、寝不足の感じがある
- いびきをかいている、いびきを指摘された
- 日中に強烈な眠気に襲われる
対象となる病気
(睡眠障害)
不眠症
寝つきが悪い(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、早朝に目が覚め二度寝もできない(早朝覚醒)など、睡眠にかかわる問題を抱えている状態です。
睡眠時間が短くても日中に元気に動き回る人もいますが、多くは日中に眠気や疲れを感じます。集中力や注意力の低下によって、仕事や学業に影響を及ぼすこともあります。
不眠症は、うつ病の症状の1つとして現れることがあります。また逆に、不眠症を放置したためにうつ病が引き起こされるというケースも見られます。
過眠症
平均的な睡眠時間(7~8時間)より長く眠らないと、目覚めが辛いという状態です。睡眠時間が不足すると、不眠症と同じように日中の眠気や疲労感、集中力・注意力の低下を招きます。
そもそも必要な睡眠時間には個人差があるため、体質的に長い睡眠時間が必要である人には特別な治療法はありません(治療の必要がないとも言えます)。
一方で、ストレス、うつ病など外的要因によって過眠症が引き起こされるケースもあります。思い当たるストレスがある、以前よりも長い睡眠時間が必要になったという場合には、注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群
肥満、アデノイド・扁桃肥大、舌が大きいといったことで気道が狭くなり、睡眠中の無呼吸を繰り返してしまう病気です。多くは、いびきを伴います。
無呼吸によって体内の酸素量が低下すること、心臓に大きな負担がかかることから、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を合併するリスクが高くなります。また、睡眠の質が悪くなることから、日中の眠気や疲労感、集中力・注意力低下などを引き起こします。
治療では、CPAP療法が有効になります。
必要に応じて専門機関へご紹介いたします。
概日リズム睡眠障害
もともと私たちの体内時計はぴったり24時間ではありませんが、日光を浴びたり、日中に活動をして適度に疲れることで同じ時間に眠くなる・目が覚めるようになっています。概日リズム睡眠障害とは、この1日24時間という周期に対応できないために、入眠や起床の時間が大きくズレてしまう病気です。
無理をして学校や仕事に行くと、日中にひどく眠くなってしまいます。特に夜勤業務による不眠でお困りの方々には睡眠薬の使用にとどまらず睡眠衛生指導なども積極的に行っておりますので、お気軽にご相談ください。
ナルコレプシー
過眠症の1つです。脳の覚醒中枢の働きが悪くなっていることが原因と言われています。
夜間の睡眠が足りているにもかかわらず、日中に強い眠気に襲われ、居眠りを繰り返してしまいます。多くは10~30分と短時間で、目覚めはスッキリしているという特徴があります。
その他、日中に気持ちが高ぶった時・びっくりした時などに身体の一部の力が抜けてしまう(情動脱力発作)、睡眠中に金縛りにあう、入眠時に幻覚が見えるといった症状も見られます。
うつ病、不安障害などを合併するケースも珍しくありません。
むずむず脚症候群
じっと座っていたり、横になっている時に、脚にむずむず・ピリピリする、かゆみ、痛みなどの不快感が生じる状態を指します。症状は、夕方から夜間にかけて出ることが多く、これにより睡眠が妨げられます。
はっきりとした原因は解明されていませんが、脳の神経伝達物質であるドーパミンとの関連が指摘されています。また、慢性腎不全、鉄欠乏性貧血、妊娠、パーキンソン病、関節リウマチ、糖尿病などの病気の症状の1つとして現れることもあります。
睡眠外来で行う検査
うつ病、不安障害などの存在が疑われる場合には、それぞれの診断基準をもとに問診・診察・検査・診断します。
いびきを伴うなど、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、以下のような検査を行います。
簡易検査
鼻、指にセンサーを取り付けて、呼吸や体内の酸素濃度を調べる検査です。
検査装置を借り、ご自宅で受けていただくことができます。簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の診断に至らない場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)という精密検査を行います。
PSG
鼻、指のセンサーでの測定に加えて、脳波・筋電図・眼球の動きなどを調べる検査です。呼吸や酸素濃度だけでなく、睡眠の深さ、安定性、覚醒の程度などまで分かります。
以前は入院した上で行う必要がありましたが、現在では簡易検査と同じく、検査装置を借りてご自宅で受けられるようになっています。
治療
睡眠障害の種類に応じて、以下のような治療を行います。
必要な場合は適宜専門機関へのご紹介なども行っております。
CPAP療法
睡眠時無呼吸症候群に対する治療です。呼吸に合わせて、マスクを通して装置から空気を送り、気道を広げます。使用したその日から効果が期待できる即効性の高い治療ですが、根本的治療のためには生活習慣の改善、ダイエットなどが必要になります。
アデノイド肥大や扁桃肥大が原因である場合には、手術が行われることもあります。
マウスピース
睡眠時無呼吸症候群に対する治療の1つです。舌が大きく気道を塞いでしまう場合に有効です。
下顎を前方で安定させるための特殊なマウスピースを装着することで、気道を広げます。マウスピースは、歯科で作ってもらいます。
生活習慣指導
規則正しい生活リズムをつくること、日中に適度な運動をすること、寝室の環境を整えること、午前中に日光を浴びることなど、原因に合わせた生活習慣指導を行います。
肥満を原因とする睡眠時無呼吸症候群の場合には、食事療法と運動療法を組み合わせたダイエットを行います。
睡眠薬(薬物療法)
必要に応じて、睡眠薬などのお薬も処方します。寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるといった症状に合わせて、適切なお薬を処方します。
背景にうつ病などの病気がある場合には、抗うつ薬をはじめとするお薬の処方も行います。