ストレスチェック
~ストレスが限界に
達した時に出る症状~
私たちは、生きている以上、何らかのストレスを抱えています。その種類や程度はさまざまで、直接目で見えるものではありません。また、ストレスの許容量も、人によって異なります。
ただし、ストレスが限界に達した時に現れる症状については、共通する部分が少なくありません。ここでは、心の症状、体のサイン、行動のサインとして、それぞれ確認していきましょう。
心の症状
- 気分の落ち込み
- うつ状態
- イライラ、怒りっぽい
- 意欲、関心、興味の低下
- 集中力、注意力の低下
- 特に何もないのに悲しい、涙が出る
- 自責の念にとらわれる
- 頑張ってもうまくいくはずがないと考える
- 自分に価値がないと考える
- 死にたい気持ちが強くなる
体のサイン
- 慢性的な疲労感、倦怠感
- 不眠、過眠
- 肩こり、頭痛
- 食欲不振、むちゃ食い
- 体重減少、体重増加
- めまい、立ちくらみ
- 動悸
- 息苦しさ、呼吸困難
- 腹痛
- 下痢、便秘
行動のサイン
- 仕事や学業におけるケアレスミスの多発
- 遅刻、無断欠席
- 出社や登校ができない
- お酒やたばこの量が増える、急に嗜むようになる
- 人付き合いを避ける
ストレスの原因
人間関係
ストレスの原因としてもっとも多いのが、人間関係です。
職場、学校、家庭との人間関係、あるいはパートナーとの喧嘩やトラブルなど、さまざまな場面で人間関係はストレスの原因になることがあります。
仕事
仕事がうまくいかない、昇進・昇給で遅れをとっている、希望した会社・部署で働けない、責任が重い、やる気が出ないなど、さまざまな悩みがストレスとなります。また、残業や休日出勤が重なると、身体の疲れ、ストレスを招きます。
睡眠不足
仕事や勉強、育児、介護などによって睡眠不足になると、心身に疲れが溜まり、ストレスとなります。
ゲームをして夜更かしをするなど、自分の意志にもとづいて行動した結果の睡眠不足であっても同様です。
性格
真面目、完璧主義、几帳面、心配性といった性格の人は、人よりストレスを感じやすくなります。
電子機器の使用
TV、パソコン、タブレット、スマホなどを長時間視聴・操作していると、それがいくら楽しいコンテンツであっても、疲れが溜まり、ストレスにつながります。
経済的な問題
現在お金がない、あるいは将来に向けての貯金がうまくいかない、失業してしまった、家族がギャンブルや買い物に大金を使ってしまう、借金を抱えているといった問題は、とても身近なストレスの原因です。
健康上の問題
自分や家族が、がんなどの命にかかわる病気、治療にたくさんのお金が必要な病気になった場合には、死の恐怖や将来への不安からストレスを感じます。
ストレスが原因で
起こる病気
自律神経失調症
自律神経のバランスが乱れ、うつ、意欲・関心・興味の低下、疲労感、倦怠感、めまい、耳鳴りといった心身の症状が出ている状態です。
ストレス、不規則な生活、睡眠不足、ホルモンバランスの変化などが原因となります。
うつ病
気分の落ち込み・憂うつ・やる気が出ないなどのこころの症状、不眠・疲労感・倦怠感といった身体の症状が現れます。
最大の原因がストレスです。その他、几帳面・生真面目な性格、遺伝なども発症に影響します。
双極性障害
いわゆる「躁うつ病」です。気分が落ち込むうつ状態と、気分が高揚する躁状態を繰り返します。
発症には、遺伝、周産期の胎児の異常、妊娠中のインフルエンザ感染、母親の喫煙などが影響しているものと考えられています。またストレスの関与についても指摘があります。
強迫性障害
自分の本来の考えに反する別の考えが頭に浮かび(強迫観念)、その強迫観念によって生まれた不安を打ち消すために同じ行動を繰り返す(強迫行為)し、日常生活に支障が出ている状態です。一例として、手が汚れているわけではないのに汚いと思い込み、何度も何度も手を洗ってしまうといったものが挙げられます。
気質、環境、遺伝などが発症に影響していると言われており、そのうちの環境要因にストレスが含まれます。
急性ストレス障害
命が危険にさらされるような事故・事件・災害・戦争などの自分の経験、あるいは誰かの経験を見たりすることで強いストレスを感じ、その直後~数日以内にさまざまな精神・身体症状が現れる一過性の障害です。
心的外傷後
ストレス障害
急性ストレス障害と同じように、辛い経験をしたり見たりすることで生じる強いストレスを原因とします。さまざまな精神・身体症状が1カ月以上続きます。ただ、発症のタイミングはさまざまで、何年も経過してから突然症状が現れるということもあります。
適応障害
主にストレスによって、気分の落ち込み、意欲・関心の低下、不眠といった情緒的・身体的症状が現れる状態です。遅刻や無断欠席、過剰な飲酒やギャンブル、無謀運転などの問題行動が見られることもあります。
摂食障害
「食べる」ことに関わる障害です。極端な食事制限、過食、体重増加を防ぐための嘔吐・下剤の内服などが見られ、これによって健康への影響も生じます。
分類としては、「神経性やせ症(拒食症)」「神経性過食症」、「過食性障害(過食症)」、「回避制限性食物摂取症」などがあります。
過敏性腸症候群
ストレス、腸内細菌叢のバランスの変化、免疫異常などが原因と考えられる病気です。
腹痛、下痢または便秘、腹部膨満感などの症状が見られます。
蕁麻疹
前触れなく強いかゆみを伴う発疹が広がり、その後数時間以内に跡形もなく消失する病気です。再発したり、慢性化したりすることがあります。
ウイルスの感染、アレルギー、ストレスなどが原因となります。
突発性難聴
突然、片耳で生じる難聴です。耳鳴り、めまいなどの症状を伴うこともあります。また、ごく稀に両耳で同時に発症することもあります。
はっきりとした原因についてはまだ分かっていませんが、ストレスの関与が疑われます。
自分でできる
ストレス発散・解消方法
睡眠をしっかりとる
睡眠は、もっとも効率良くこころと身体を休めることのできる方法です。
個人差はありますが、毎日7~8時間を目安に、心地よい環境でしっかりと睡眠をとってください。起床時間・就寝時間を一定にすることも大切です。
適度な運動
うっすら汗をかく程度の適度な運動は、ストレス発散・解消の方法として有効です。
スポーツ経験の少ない人でも、ウォーキングなどで汗をかくと気持ちがすっきりします。また適度な疲労は、寝つきを良くしてくれます。
誰かと話す
人と話すだけで気持ちが楽になったという経験は、多くの人がお持ちです。必ずしも悩みを相談する必要はありません。相手の話にも耳を傾け、楽しい時間を過ごしましょう。
五感で色々なものに
触れる
見る・聞く・味わう・嗅ぐ・触れるといった五感で、さまざまなものを感じましょう。
きれいな景色を見る、コンサートや食事に行く、自然のにおいを嗅ぐ、動物に触れるといったことは、いずれもストレスの発散・解消に役立ちます。
読書・映画鑑賞
芸術鑑賞で感動して心を震わせたり、涙を流したりといった時、私たちは「共感」をしています。
気持ちを穏やかにしたり、リセットしたりする効果も期待できます。
創作や作業をする
絵を描く、物語を考える、DIYをする、料理をするといった創作は、悩みを忘れ、自分の世界に没頭できます。没頭したり楽しめるのであれば、書道や写経、塗り絵、パズルなど、何でも構いません。
瞑想
パソコンやスマホなどの存在が当たり前となり、「頭を空っぽにして心を整える時間」が少なくなっています。
瞑想にはさまざまな種類がありますが、心を整えるという点では共通しています。ご自身に合ったものを見つけ、毎日数分で構いませんので、続けてみましょう。