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統合失調症

統合失調症とは

統合失調症とは
幻覚や妄想、さまざまな症状が見られる、こころの病気の1つです。100人に1人程度の割合で発症する、身近な病気でもあります。
10~20代を中心に、若い方に発症することが多い一方、中高年になって初めて発見されることもあります。ただ、適切な治療を受けることで、半数以上が軽快します。
症状の個人差が大きいものの、以下のように妄想型、破瓜型、緊張型に分類できます。

妄想型

幻覚、妄想を主な症状とし、3つのタイプの中ではもっとも症状が軽いものとなります。生活行動に問題が生じることもあります。
発症年齢は30歳前後が多いものの、18歳くらいで発症することもあります。

破瓜(はか)型

もっとも多く見られるのが、破瓜型です。感情や意欲、思考における問題が発生しやすく、それらの症状がゆっくりと進行します。
ほとんどが10~20代で発症します。

緊張型

幻覚、妄想、不眠、激しい興奮、周囲への反応の低下など、相反する極端な症状が現れます。同じ動作の繰り返し、相手の動作の模倣などが見られることもあります。
20歳前後での発症が多くなります。

統合失調症の症状

統合失調症では、以下のように陽性症状と陰性症状が見られます。

陽性症状

陽性症状とは、ないはずのものが存在するように感じられる症状です。代表的な症状に、幻覚や妄想があります。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 自分を非難する声、命令の声が聞こえる幻聴
  • (幻聴を聞き)ニヤニヤとする、ブツブツと返事をする
  • 攻撃をされているという被害妄想
  • すれ違いざまに攻撃をされるのではという迫害妄想
  • まわりの人に悪口を言われているという関係妄想
  • すれ違う人が自分ばかりを見ているという注察妄想
  • 誰かに常に尾行されているという追跡妄想
  • 自分は特別な人間であるなどの誇大妄想
  • 他人に操られている、思考が奪われるなどの自我障害

陰性症状

陰性症状では、本来あったものがなくなってしまう症状です。陰性症状より目立ちにくく、「なんだか前より元気がないな」といった程度の認識をされたり、うつ病のように思われたりすることが少なくありません。
具体的には、以下のような症状が見られます。

  • 意欲、気力、関心、興味が低下する
  • 喜怒哀楽が乏しくなり、感情が平板化する
  • 考えをまとめたり、思考を深めることが難しくなる難しくなる
  • 考えを言葉にすることが難しくなる、口数が減る
  • 他人との関わりを持とうとせず、引きこもりがち

症状の経過

統合失調症は、その経過によって、前兆期、急性期、回復期、安定期・慢性期に分けられます。

前兆期

統合失調症の代表的な症状より前に、不眠、不安、神経過敏、身体症状などが前兆として現れることがあります。

急性期

幻覚や妄想などの陽性症状、うつ状態・無気力・思考の低下・引きこもりなどの陰性症状が見られます。
統合失調症の代表的な症状が現れる時期です。

回復期

治療により、症状が良くなる時期です。通常、陽性症状が減少しますが、陰性症状の程度はそれほど変わりません。

安定期・慢性期

治療により回復が進み、安定した生活を送れるようになる時期です。ただし、陰性症状が残ってしまうことがあります。

統合失調症の原因

統合失調症の原因
統合失調症の原因については、まだはっきりしたことが分かっていません。
しかし、以下のような仮説があがっており、今後の解明が期待されています。

3つの仮説

ドーパミンの関与

ドーパミンを活性化するお薬の投与によって、その人が統合失調症に似た症状が出ることがあります。このことから、多量のドーパミンによって統合失調症を発症しているのではないかと言われています。
なおドーパミンは、強いストレスや不安によって活性化するため、これらが原因である可能性も考えられます。

多くの要因が重なった

脳の神経系の機能の遺伝、生真面目な性格、ストレス、環境の変化などが重なることで統合失調症を発症するのではないか、という仮説があります(ストレス・脆弱性仮説)。

その他

胎児期、出産時の低酸素症など、他にもいくつかの原因の可能性が指摘されています。

なりやすい人

はっきりした原因は分かっていないものの、仮説などを考慮すると、以下のような人が統合失調症になりやすいと言えるかもしれません。

  • 両親のうちどちらかが統合失調症である人
  • ストレスを溜め込んでしまう性格の人
  • ストレス耐性が低い人

統合失調症の診断

患者様の症状、経過、他の身体疾患の有無、服用中のお薬、生活状況、家族歴などから総合的に診断します。
他の病気でないことを確認するため、血液検査、CT検査、MRI検査が必要になることもあります。

統合失調症は治る?
治療方法

統合失調症は、早期からの適切な治療によって症状の改善がきちんと見られ、回復可能な脳の病気です。
薬物療法、心理療法、作業療法などを行います。

薬物療法

妄想や幻覚をはじめとする症状に合わせて、その症状を和らげるお薬を処方します。具体的には、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、気分安定剤などが挙げられます。
そして症状が落ち着いてきたら、医師の判断で減薬します。長引いたり、再発したりしないよう、医師の指示は必ずお守りください。

心理療法

統合失調症の治療では、心理療法の1つ、支持療法が有効になることが多くなります。
不安に思っていること、心配なことを医師、カウンセラーに話し、その解決策を一緒に考えます。短期間で答えを見つけるのではなく、再発防止を念頭に置きながら解決の糸口を探すことが大きな目的となります。
がんの治療中の方にも行われる心理療法です。

統合失調症の人に
してはいけないこと

統合失調症の人にしてはいけないこと
身近に統合失調症かもしれない人、診断を受けた人がいる場合には、その接し方にも注意を払う必要があります。
当院では、ご家族様からのご相談もお受けいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

言動を責める

統合失調症の人は、うまく考えをまとめること、考えを言葉にすることが難しくなっています。まわりの人は、日常的な会話であっても、要領を得ない、何を言っているか分かりにくいと感じることがあります。
ただそういった時に、「はっきりして」「何を言っているか分からない」といったように責めてしまうと、自己嫌悪に陥り症状が悪化してしまうことがあります。本人にとっては“どうしようもないこと”であると理解して、根気強く、優しく接してあげてください。
否定したり批判したりするようなことは避け、出来るだけ感情的に接することは避けるようにしましょう。

行動を制限する

統合失調症の人は、幻聴を聞いてブツブツと返事をしたり、被害妄想から混乱したりと、まわりの人からは理解されにくい行動をとってしまうことがあります。
こうした行動を見るのは、ご家族様にとって辛いことと思います。また外出時には、まわりの人からの視線も気になります。しかし、これらの行動を制限すると、ご本人はより強いストレスを感じ、症状を悪化させてしまうことがあります。
身の危険がある場合は別ですが、行動の制限はできる限り避けるべきと言えます。